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(山口新聞「東流西流」2011年に連載されたコラムをアーカイブ化しました)

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軽トラ市「夢」


文・写真/ふじたのぶお

 錦川清流鉄道を活用して新鮮組の食材を流通させたら良いとか、新鮮野菜で弁当のビジネスモデルができるなど、軽トラ新鮮組が秘める可能性は底知れず広がる。商店街で行うブレーンストーミングの風景だ。しかし、いずれのアイデアも採算性を掘り下げると壁にぶつかる。なぜなら労働の源が「生き甲斐」という金銭価値では量れない因子になっているからだ。

 「街おこしは里山を使え」を合い言葉に、商店街活性化を目指して立ち上げた仕組みは、いつしか無形の里山コミュニティとして貴重な役割を担っていた。軽トラに作物を積み込んで街場へ出る。品物が売れたら、そのお金を街で費やして食事やお洒落を楽しむ。里山の人と商店主、それにお客さんが顔見知りとなり、暮らしが楽しくなる。

 寒い朝、新鮮組かわら版の取材で山代地域をたずねた。首にタオルを巻き、帽子をかぶり「わたしゃ、それが嬉しいんよ」と、シワを深くして笑うお年寄りの姿が印象的だった。軽トラ市ビジネスは儲からない。地域の人々が交流し、生き甲斐を実感できる仕組みに育んでこそ、商店街が与する意義がある。それは私たちが保つべき最も端正な夢ではないだろうか。

 長らくのご愛読をありがとうございました。続きはフェイスブック「foujitas」にて。

(許可なく転載お断りします)
第1回「発想」
第2回「支度」
第3回「出発」
第4回「発信」
第5回「失敗」
第6回「仲間」
第7回「協働」
第8回「課題」
第9回「夢」(完)